「王国の子ら」T・E・D・クライン — ノヴェレットの魔術師#5


カービー・マッコーリーの名エージェント/アンソロジストとしての実績と慧眼を、エントリ34で採りあげた『Frights』の不完全な翻訳版やスティーヴン・キング絡みで既に知っていた私は、『Frights』のグレード・アップ版とも言えるアンソロジー『闇の展覧会』を一も二もなく即買いしたものだった。その中でもっとも強力に私の心を捉え、その後も何十年もの再読に堪え続けた1篇は、2分冊のラストに堂々と構えるT・E・D・クラインという見知らぬ作家の「王国の子ら」というノヴェレットもしくはノヴェラだ。



若きお茶目な、それでいて献身的なラヴクラフティアンであるシオドア・”エイボン”・ドナルド・クラインは、その心の師と諸先輩たちの恐怖のダイナミクスを踏襲しつつも、ずっとモダンでリアリスティックでアクチュアルな姿勢と作法で、そしてもしかすると少しくメタな視点で、このラヴクラフティック・モダン・ホラー短篇を物している。



話は随分ゆっくりゆったりと、焦らし肩すかしするように、とてもホラー短篇カラーが始まりそうにないようなペースでのんびりふんわり進んでいく。素早く強力にホラー空間/ホラー読書時間に引きこまれることを期待して臨む読者なら、100ページに及ぶこの短篇を最初の20ページほどで投げ出してしまうかもしれない。









 


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