『月の骨』ジョナサン・キャロル ー 双葉より芳しき名手の銘酒


私は長いこと、映画監督/脚本家のM・ナイト・シャマランというのは、公に顔を出すインド系アメリカ人の監督(兼脚本家)と匿名の脚本家としてのジョナサン・キャロルによる共同プロジェクトの仮名なのではと思っていた。そしてなんなら、そのコラボレーションが今でも公にされていないだけで、少なくともシャマラン作品の初期にはあったのではないかと思っている。もちろんこういう推測をしたからといって、実際の「M・ナイト・シャマラン」の能力を矮小化する試みとみなされることにはなるまい。私のそんな推測が外れていようと、あるいはずっと後になってご当人たちからひょろっと告白されることになろうと、その映画作品や脚本やアイディアが素晴らしいものであるのに変わりはないのだから。寡聞にしてか私は、この「シャマラン二人三脚説」を誰かが唱えているのを読んだり見聞きしたりしたことがないのだが、もし本当に誰もそんなことを意識に上せたことがないとしたら、キャロルの小説とシャマランの映画の語り口メソッドに共通するトリッキーな鮮やかさを思えば不思議なことだとしか言いようがない。



そっちの道でも広くおなじみ、ジャンル思いの寛容な褒め好きスティーヴン・キングが ”絶賛” との帯の文句に釣られて、邦訳刊行当時すぐにキャロルのデビュー作『死者の書』 を読んだ私だったが、むしろその技に酔わされたのは、邦訳2作目の『月の骨』でだった。追体験渉猟でいまさらながらにこのジョナサン・キャロルというダーク・ファンタジーの名手を読み始めてみようという読書子がいたら、私はむしろこの『月の骨』を、でなければ原著第2作の『我らが影の声』をおすすめするだろう。










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